主婦(仮)9
そこから7日間、美月は俺の前から姿を消した。
今日は、靴の中と廊下に落ちていていた伏線を回収した。
紙に書いた伏線はその辺に落ちていることが多い。
美月はミステリー小説も好んで読むが、
「今まで、伏線に気づいたことがない。長いお話になると、もうさっぱりで。誰にでもすぐわかるようにもっと親切にして欲しいわ。」と言っていたので、親切のつもりだろうか。
*主婦(仮)*は今は誰もいない実家へと戻っていた。
せっかく小説になったのに、急に昔のことを思い出して暗い穴底に落ちた気分だった。
これはマタニティーブルーってやつなのかな。
生まれてなければよかった。
これからお母さんになるのに、こんなの胎教に悪いよ。
きっとあの映画を観たせいだわ。
「生まれてこなければよかった」
*素敵な名前(仮)*さんはこんなとき、私のことを追いかけたりしない。
昔からそうだった。
そしてそれは二人で決めたことだった。
私にはけっこう暗い過去があって、
人に話すとようなことではないし、でもついうっかり心を許して
話してしまうと大抵悪いことが起きた。
だから*素敵な名前(仮)*さんにもそのことは言っていない。
ライトにいうと「メンヘラ」と領域に片足を突っ込んでいるかもしれないけれど、
傍目にはそう見えないように細心の注意を払っていた。
「決して、変な気はおこなさいのでそっとしておいてください。
*素敵な名前(仮)*さんを困らせるようなことはしないので」
そんなメールを結婚するまで何回送ったことだろう。
一週間くらいすると、また元気を取り戻す場合もあったし
低水準のまま推移することもありました。
なので、なるべく楽しい心温まるお話や、ちょっといいお話、
面白いことが起きたり、そんなつもりでこれまでやってきましたが
もう無理です。
私は、けっこうな確率で不運で、自転車に乗っていたら、背後から越してきた
自転車の相手になにかで殴られました。
幸い大きな怪我もしませんでしたし、この程度のことで、という気持ちもありましたし、翌日も会社があるため警察や他の誰にも言わず、
今日まで生きてきたような気がします。
その十倍くらい辛いことがたくさんあって、それも言うと自分以外の人もだいたい
きいた人も傷つくので、言わないほうがいいなぁと常日頃から考えて
口数は少なくなりました。
頭の中で、楽しいことやラッキーなことを考える時間が多くなって、ぼーっとしているように周囲には見えたかもしれません。
ぼーっとしている私は、*素敵な名前(仮)*さんに仕事のことですごく怒れらたことが
あります。私は、泣きました。
「泣くな」と怒鳴られてよけいに泣いてしまい、バツが悪くなった*素敵な名前(仮)*さんはお詫びにご飯を奢ってくれたのです。
そこからぽつりぽつりと、お互いの話しをして
一見、女子社員からもモテて、ちゃらちゃらしてそうに見える
*素敵な名前(仮)*さんも意外と大変なんだな、と思うようなことを教えてくれた。
*素敵な名前(仮)*さんは、胃潰瘍だった。
あと、もう一つ秘密があるようでしたが、それはそのときは教えてくれませんでした。
速くて雑な私と、丁寧だけど時間がかかり過ぎる*素敵な名前(仮)*さんは
良いコンビになれるような気がして、
あるときどちらからともなく「約束しよう」という話しになった。
と、いうのは怖い夢でした。
私は姿を消さず、今日も*素敵な名前(仮)*さんの帰りを待ちます。
今日は、靴の中と廊下に落ちていていた伏線を回収した。
紙に書いた伏線はその辺に落ちていることが多い。
美月はミステリー小説も好んで読むが、
「今まで、伏線に気づいたことがない。長いお話になると、もうさっぱりで。誰にでもすぐわかるようにもっと親切にして欲しいわ。」と言っていたので、親切のつもりだろうか。
*主婦(仮)*は今は誰もいない実家へと戻っていた。
せっかく小説になったのに、急に昔のことを思い出して暗い穴底に落ちた気分だった。
これはマタニティーブルーってやつなのかな。
生まれてなければよかった。
これからお母さんになるのに、こんなの胎教に悪いよ。
きっとあの映画を観たせいだわ。
「生まれてこなければよかった」
*素敵な名前(仮)*さんはこんなとき、私のことを追いかけたりしない。
昔からそうだった。
そしてそれは二人で決めたことだった。
私にはけっこう暗い過去があって、
人に話すとようなことではないし、でもついうっかり心を許して
話してしまうと大抵悪いことが起きた。
だから*素敵な名前(仮)*さんにもそのことは言っていない。
ライトにいうと「メンヘラ」と領域に片足を突っ込んでいるかもしれないけれど、
傍目にはそう見えないように細心の注意を払っていた。
「決して、変な気はおこなさいのでそっとしておいてください。
*素敵な名前(仮)*さんを困らせるようなことはしないので」
そんなメールを結婚するまで何回送ったことだろう。
一週間くらいすると、また元気を取り戻す場合もあったし
低水準のまま推移することもありました。
なので、なるべく楽しい心温まるお話や、ちょっといいお話、
面白いことが起きたり、そんなつもりでこれまでやってきましたが
もう無理です。
私は、けっこうな確率で不運で、自転車に乗っていたら、背後から越してきた
自転車の相手になにかで殴られました。
幸い大きな怪我もしませんでしたし、この程度のことで、という気持ちもありましたし、翌日も会社があるため警察や他の誰にも言わず、
今日まで生きてきたような気がします。
その十倍くらい辛いことがたくさんあって、それも言うと自分以外の人もだいたい
きいた人も傷つくので、言わないほうがいいなぁと常日頃から考えて
口数は少なくなりました。
頭の中で、楽しいことやラッキーなことを考える時間が多くなって、ぼーっとしているように周囲には見えたかもしれません。
ぼーっとしている私は、*素敵な名前(仮)*さんに仕事のことですごく怒れらたことが
あります。私は、泣きました。
「泣くな」と怒鳴られてよけいに泣いてしまい、バツが悪くなった*素敵な名前(仮)*さんはお詫びにご飯を奢ってくれたのです。
そこからぽつりぽつりと、お互いの話しをして
一見、女子社員からもモテて、ちゃらちゃらしてそうに見える
*素敵な名前(仮)*さんも意外と大変なんだな、と思うようなことを教えてくれた。
*素敵な名前(仮)*さんは、胃潰瘍だった。
あと、もう一つ秘密があるようでしたが、それはそのときは教えてくれませんでした。
速くて雑な私と、丁寧だけど時間がかかり過ぎる*素敵な名前(仮)*さんは
良いコンビになれるような気がして、
あるときどちらからともなく「約束しよう」という話しになった。
と、いうのは怖い夢でした。
私は姿を消さず、今日も*素敵な名前(仮)*さんの帰りを待ちます。
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