主婦(仮)5

ここは「ボツ」にして、ごっそり削除しよう。

そしてずっとずっと楽しみにしていたことを、
いよいよ実現させるのです。

どのくらいの時間が経ったのかわからないけれど、そろそろ*素敵な名前(仮)*さんを
家に戻ってこさせようと思う。
たまに意識しないとお腹に娘ちゃんがいることも夫が帰っていることも忘れてしまう。

時間は19時に4分前くらい。

私は準備した。
*素敵な名前(仮)*さんが現れた。


家に帰ってきたところ、間違い探しのような状況になっていて
自分の家であることは確かだが、どうもいつもと様子が違う。

例えばこのソファー。あとテレビが一回り大きくなっている。

その周りの建てつけのパネルにはアクアリウムが広がり、建てつけのパネルは俺が
建てた家のものでアクアリウムが映える。
小魚をずっと眺めていたくなるが、それよりも美月だ。

美月は、軽く微笑みながらソファーに深く腰掛けている。
心なしかいつもより綺麗に見えるのは気のせいだろうか。

髪の毛と眼鏡のフレーム、レンズの厚さが違う。
銀縁の円形のフレームにいつもの半分くらいの厚みのレンズが乗っている。

髪には艶やかな潤いがあり、なぜかメデューサのようにうねうねと髪が蠢いていた。

「あれ?家の雰囲気なにか、変わった?」

「いや、ちょっとね」美月が、ちょっとね、と言うときは「ちょっと」どころでは
ないことが非常に多い。

そこから美月の話しを「うんうん」とただただ、きいていた。

俺を喜ばせようと、小説なのをいいことにやりたい放題にしてしまったことを
悔いていた。

テレビ、アクアリウム、ソファーだけではなく、トイレもCMでよくやっている掃除がラクになって除菌効果があるものになっていたし、
「何か欲しいものない?」と訊かれたときに
言わないと損だと思って大して欲しくもなかったのに、
オメガの時計もあった。

「正一さん、どうしよう。これじゃあ、まるでSFだわ。元に戻したほうがいいのかしら」

「でも、君がこうしてぼくらのために出してくれたんだし、これは
このままでいいんじゃないかな?ちなみにどうやって出したの?」

「こ、こんな感じで」
美月は右手の親指と薬指をくっつけるような手の形をして、床のキズ部分をこするようにして撫でた。
床のキズは、エビになってアクアリウムの中に入っていった。
床のキズも消えた。

「特別疲れるとかエネルギーを使うとかはなさそうなんだけど、お腹に優月ちゃんもいるわけだし、影響が出たら怖いし、このへんにしとく」

「出したものの消し方は知ってるの?」

「うん。ほら、小説だしそのへんはうまくやるよ。」

そんなことより・・美月はまだ何か言いたげだ。




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