にゃーこ、にゅーこ、にょーこのお話。

 私はにゅーこ。

某国に連れ去られ、スパイとして教育されたものの義務教育と高校の1年間は

普通に過ごしてきたし素養も無さそうな私なので

たぶん、このスパイアイテムなしでは一般人の方と大して違いはないだろう。

このスパイアイテムとは何か。

そこの君!良い質問である。

スパイに必要なのは、その質問力みたいな機転と会話センスだと思うのだけれど

私はまだ、そんな場面に遭遇していない。

ああ、なんだっけ。最近忘れっぽいのは、きっと情報が多過ぎるからだと思う。

スパイアイテム。

もっとマシな名前が思いつかなかったのか、にゅーこ。

ええと、これはコンタクトレンズ式になっている画像解析装置で

悩みは乾きやすいことと、ハードレンズ並の異物感があること。

私はそのせいで、しばしば目をしばたかないといけないし

例えばさ、今君が「しばたくって変じゃない?柴田く みたいじゃん。」って

思ったのが、

画像解析と音声解析で、それも膨大量なデータを取り込んでいるから

動きや表情、会話から、「しばたくって変じゃない?柴田く みたいじゃん。」

と思ったのが、わかっちゃうわけ。

細かいニュアンスにはまだデータが欲しいみたいだけれど、かなり精度は上がっていて

にゃーこが、お昼ご飯を食べ終わった直後に

「夕飯はアジフライ。」と思っていたのが、すぐに分かってしまい可笑しかったので

偶然を装い「夕飯はアジフライにしようかな」と言ってしまった。

にゃーこは「にゅーちゃん、私も同じこと考えてたよ!」ときらきらして

いる。

ところで、にゃーこは犬派だ。

私はこの退屈な田舎町から出るべくして、それなりに勉学に励んでいたつもりだけれど

某国に拉致された時点で、諦めざるを得なかった。

というのも某国の私の直属の上官は日本の中でも秋田県のサンプルを集めていた。

理由は物騒だし、

スパイなので君たちには重大な機密を漏らすわけにはいかない。

ごめんね。日本。ごめんね、秋田。

でもそんなに思い入れもなし、このまま就職もいいななって高1の今はのんびり構えています。

きっと大人の女になったら、スパイの身のこなしとかも上官から教えてもらえるのかもしれない。

そして君は「拉致されて、親や姉妹たちは心配しなかったのか?」ということも

気になっている。それもスパイグッツイ(格好良い名前募集中)をおかげで

私の目の中に、しっかり活字になって、浮かんできちゃうんだよね。


にゅーこは塾帰りで、とぼとぼいつもながら人通りのない国道の沿道を歩いていると

明るい光がすーっと降りてきて、「めっちゃ明るい」と目を奪われているうちに

すいーと光に吸収されていって、その先の記憶は重要で大事そうなことろははっきりと

たぶん微妙に危ない話の概要についてはざっくりとだけ説明を受けました。


私の目にはコンタクトレンズが埋め込まれ、とは言っても外れるけど。

他にも埋め込まれたような気がするけれど、あまり知りたくなかったせいか

ぼんやりとしか思い出せません。

ああ。もうシャットダウンしそうよ。

頭をバットでゴンてしたみたいに眠ってしまった。

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