ダーティー・浄化ワーク


その頃よく節子を身体を売っていた。

といってもどの頃かは定かではないが、
とりあえずヤフオクで身体を売っていた。

左足の直径8mm、厚み5mmの角のない
円柱型の魚の目は高値で取引されており

およそ1ヶ月に一度しか採取できないのが
難点であったが、
まとまったあぶく銭を手にしていたのだ。

というのも設定にかなり無理があるが節子は、
1000年以上続く由緒ある神社の一人娘で
もちろん得体の知れないパワーなんかは
持ち合わせていなかったが、

秀でた写真撮影技術と加工技術、
商品の説明文を書くのが兎角優れており、
目に触れた者は皆クリックした。

節子が秘密にしていることだが、その側の人間
(幽霊)はちゃんと見ていた。
そのあぶく銭が何に使われているのか。

それはアトピーが治ると謳った新興宗教に入ってしまい
苦しんでいる人たちの救済の資金だった。

ちょっと待って!それじゃあ節子がやっていることは
新興宗教と変わらないんじゃ……という
声が聞こえたけれど、そこは心配ご無用である。
プラセボ効果によって購入者たちは皆、購入に至った
悩みからは解放され
「悪い評価」は皆無だった。

息子のアトピーがあまりにひどくて入信してしまい
お金は減る一方、アトピーももちろん治るわけがなく
一家心中してしまった私が言うんだから間違いない。

頑張れ、節子ちゃん!
怪しげな新興宗教をぶっ潰すんだ!

とエールを送って悪の根元を教えてあげたいけれど
節子ちゃんはもっぱら「被害者を救う」ということしか
思いつかないらしく、
こんな時幽霊はもどかしい。










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