【傘で】本当にあった怖い話2【殴打】

 

それはジメジメとして、今にも雨粒が落ちてきそうな

薄暗い夏の朝のことでした。


私たちはその日、娘の部活の大会のため朝5時には起床し

寝起きで、ぼーっとしている娘をせかしながら

夫と持ち物を記載したプリントと照らし合わせながら

持ち物の最終確認を行っていました。


「敷物持った?」

「うん、バッグに入れたから」

私は確かに、敷物をバッグに入れた。

そのときは、確かに、そう思っていたんです。

娘を学校に送り届けるまでは。


学校に到着すると、いよいよお天気は怪しくなり

自宅に到着する頃には激しく雨が降り出しました。


「Y、傘持って行ってないよ。大丈夫かな」と私が夫に訊ねた時

予想もしない言葉が夫から発せられ

「は?俺、さっき傘持ったか聞いたじゃん」

「え、傘?敷物って言ってたじゃん。」

「傘って言ったし、敷物なんて言ってないよ。」

「待って。私リスト見てて、その持ち物に傘なんてなかったから

分からないし、絶対傘って言ってないよ」

今、ここで言い争っている場合ではない、と咄嗟に

玄関の定位置に置いてある折り畳み傘を持ってきて

「今傘を持って行けば、出発には間に合うから学校に行こう」と

夫の車で、学校へ急ぎました。

傘を届けることが出来て、これで解決。

さっきのは聞き間違いだったのか、定かではありませんが

これですべては解決した。

そのときはそう思っていたんです。


そこから、高速道路に乗り、娘のバスを追いかけるようにして

演奏会場へ向かう車中

今思うと何かにお互い何か取り憑かれていたとしか

考えられないのですが、

「言った言わない」が激化し、ハンドルを握っていないほうのを拳で

太ももを殴られました。


それ以来、殴られた太ももは、なぜか取り外し可能になって

MP3の録音・再生機能が搭載されたのですが

今も夫には秘密にしています。

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