【髑髏】粘膜カニューレ【再】第壱回

 

※これは現実と嘘っぱちが交錯するテキトーなお話なので

気にしないでください。



5分前行動の5分前行動を心がける私は

初めていく場所なので

さらに余裕を持つべくして、

目的地まで徒歩5分の距離を20分前に出発した。

病院のホームページの情報に従い、

駅の西口を出て、広場を突き抜けて、

黒っぽい大きなホテルの前を通り過ぎ、

信号を渡ると第一ビルの3階に

そのクリニックがあるはずなのだが、

第一ビルがないのである。

「あと3分で約束の時間なのに」

この時、ビルが探せなくて

諦めて帰っていたら。

そう思ってももう取り返しがつかない。

みんな死んでしまったのだから。


「おはようございます。10時予約の内藤と

申しますが、クリニックが入っているビルが探せなくて

目標になる建物などはありますか?」


「内藤様。ご連絡ありがとうございます。

大和証券ビルは見えますでしょうか?

そちらを背に200メートルほど歩くと、

1階にセブンイレブンがあるビルが

見えると思います。そちらのビルです。」


「あ、分かりました。見えました。

3分ほど遅れます」

と伝え、駆け足で私はビルへ向かった。

その途中通り魔っぽい普通の男性に

襲われ背中から刺されてしまったが

電話もかけたし、なんとしても行かなければ

心配をかけてしまう。

血のついたベージュの薄手のトレンチは

トートバックに丸めてしまった。

中に着ていたのが黒のニットで

本当に良かった。

息を切らし、胸を抑え

「10時予約の内藤です。」

そう告げると

いかにも美容クリニックらしい

清潔感のある白に紺色の縁取りのある

制服を着た女性スタッフが5人一斉に

こちらを見た。

5人はお互い目配せしたように見えたが

その中の一番年下らしい

ボブカットのあどけない女性が

「内藤様ですね。お待ちしておりました。

ご案内いたします。傘はお預かりしますね」

と、真っ白い廊下に真っ白い扉が

左右に10個ずつはありそうな

長い通路の一室に通された。

畳1畳ほどの狭い空間には

鏡と机、パソコン、メイク落とし、キャンペーンのチラシ、荷物置きのカゴ、

監視カメラ、録画撮影禁止と書かれた貼り紙などが目についた。

ボブの女性は太腿も露に跪き、

「本日はありがとうございます。カウンセリング前に

こちらのアンケートにご記入ください」

「はい。」

「お飲みものは何になさいますか?」

とアクリル板に挟まれたドリンクメニューを

見せてきた。

「ホットの緑茶をお願いします」

コートも脱いでしまい、寒かった私は

温かいものならなんでも良かった。




このあと103万円請求され、惨劇が

起きるのですが

今日はここまでにします。




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